鐘崎

 九州ラーメンを食べ、温泉に浸かってトロトロになったおっさんたちは、宗像神社へ参拝を済ませあと 前から気になっていた 鐘ヶ崎 へ訪れてみました。

何の変哲もない町に興味を持ったきっかけは、ここ2・3年 宮本常一氏 の著作を目にする機会が多くあり、文章の独特の面白さに引かれている内に、ここ鐘ヶ崎の海士が遠く対馬や朝鮮半島・能登にまで進出していた事を知り、機会があれば一度訪れたいと思っていました。

今はなんでもない漁村ですが、かつてはここを含め筑前の漁民は航海術や潜水技術に秀でて、大陸交易のキーマンになったり、獲物を求めて能登、 舳倉島にまで出かけて行ったようです。

私は亡父の影響で海で遊ぶ時には例外なく潜水(素もぐり)をして楽しみます、獲物(もちろんリリースいたしますが・・笑)を追い求めると楽しくて、楽しくて、時が経つのを忘れて気がつくと数時間経っていて、取り付き地点から数キロも離れている事も珍しくありません。
ここ鐘崎の海士達はいかなる理由で枝村を作り移動して行ったかは、宮本常一氏の 著作に詳しく書かれていますが、移動にいたるきっかけは 獲物を求めて楽しくて、気がついたら数百キロ離れていた。と云うような人の狩猟(漁)本能に根ざしていたのではないか?と自分の経験から思えてしまいます。

宮本常一氏の「鐘ヶ崎の海人」のなかの鐘ヶ崎を表す文章に 海は青くすみ、あたたかであったから、海の子たちにとっては心おどるものがあった。 との一節があります 海の子 とは誠にいい響きで、私が聞いた亡父の記憶とも重なり 獲物を追い求めて遠く能登まで出かけていった海士達(海の子)の里を訪れてみました。  07/7/8


玄界灘から神湊を眺める:太古より北九州地方は大陸や朝鮮半島からの玄関口であり続け、瀬戸内海を経て内陸部への交通の要衝であった、ここ鐘崎には航海術や潜水漁法 に優れた海洋民が生活していたとの事、ここに居た海士達は対馬・壱岐・能登、などに枝村を作り移住して行ったようです。
鐘ノ岬:この岬を境にして、東が響灘、西が玄界灘となる、沖に見える島は地ノ島。亡父はかつて(地ノ島に行くと、ドンゴロスに何杯も獲物がとれよっど)と遠い目で語っておりました。亡父は漁師ではありませんが、少年期には朝から晩まで響灘へ潜って遊んでいたそうで、自らを(海の子)であると思っていたようです。彼にとってはここ鐘崎や地島は獲物が沢山取れる憧れの地・・とでも言うような思いがあり、子供たちにこの地の話をする時にはうきうきした響きがあった記憶があります。
織幡宮:祭神は神功皇后に従った武内宿禰ですね、和歌山には産湯とされる井戸が残っていたりして、伝説の長寿チャンプは全国的に人気がありますね、僕は歴史検証力はありませんが、武内宿禰は有能な武人で天皇の補佐官で実在の人物であったと思います。

武人で在るがゆえに、国家がキナ臭くなると担ぎ出されるお方なのでしょうね。
一、祭神 武内宿祢 住吉大神 志賀大神
二、縁起
 平安初期、朝廷の年中儀や制度などの事を書いた”延喜式”の中に、日本中の神社が記してあります。織幡宮は、筑前十九社の第二番目に記され、宗像郡内でも、宗像大社に次ぐ神社として記録されています。 その昔、文字を持たない時代から、古代の人々は、山の神、海の神、岬にも神霊を感じて航海安全を「ちはやぶる神の岬」として祈った時代もあったと思われますし、織幡宮は武人、武内宿祢を鎮護国家の備えとして、交通要衝 鐘崎に祀ったといわれています。 古文書に、元禄八年(一六九五年)社殿造立。元禄十六年(一七〇三年)拝殿成就と記され、古い歴史がしのばれます。 神社縁起掲示板より
筑前鐘崎海女の像:ここ鐘崎は太古より海上交通の要衝の地であり、また、海産物を採取する「西日本の海女 発祥の地」でもある、その旨を説明する掲示板がありました。

海女は右手を腰に・足元に桶を置いて、はるか彼方の水平を喜びと自信に満ちたまなざしで眺めています、その左手には彼女の糧を支える 鮑 が握られている。

この地の海士達は、はるか彼方の水平を喜びと自信に満ちたまなざしで 見つめ、遠い土地へ獲物を求めて広がっていったのでしょう。

亡父の遺言を行い、親戚筋の用事も果たした おっさん達は 帰途へついた。 ・・・・・・終わり。
沈鐘と巨石:昔の人は、金崎は鐘崎でここには海の向うの国から来た釣鐘が沈んでいると語りつぎ信じてきた。そして、宗像興氏や黒田長政などその権力にまかせてこの釣鐘を引揚げようとしたが失敗に終わった。ところが大正八年に山本菊次郎なる人が万金を投じてこれを引揚げることに成功した。しかし、姿を現したのは釣鐘ではなくしてこのような巨石であった。人々はがっかりしたが、いまでも本当の釣鐘は海底に沈んでいるとの思いを捨てかねている。このような話は沈鐘傳説といって諸国に例があるがここのはそのもっとも有名なものである。 沈鐘と巨石 夢と現実 まことに面白い郷土鐘崎の物語である。写真左下の掲示板より


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